今回は「剣道」について、これから子どもに習わせようかなと考えられている保護者の方などに、習い事としてのメリットや効果、費用なども含めてお伝えし、たくさんある習い事から子どもにぴったりの習い事を選んでいただく参考にしていただければと思います。
まず【剣道】を知ろう
現代の【剣道】は事実スポーツに分類されていますが、現在、その事業を継承している全日本剣道連盟は「剣道は剣道具を着用し竹刀と用いて一対一で打突しあう運動競技種目とみられますが、稽古を続けることによって心身を鍛錬し人間形成を目指す「武道」です。」としています。
その歴史は、江戸時代後期に始まります。当時発達した防具着用の竹刀稽古が起源とされています。当時は様々な流派が存在しましたが、流派を超えての試合も広く実施されるようになり、明治以降に試合規則などが定められ、競技として成立しました。
現在、国際剣道連盟への加盟国は40ヵ国以上となっており、世界の競技人口は約220万人と言われています。その約7割が日本で、日本国内では、中学体育で男女ともに選択科目として指導されていたり、部活動でも一定の人気を保つなど根強いものになっています。
上述した通り、【剣道】はスポーツではなく武道というスタンスです。そのため商業主義や勝利至上主義に陥りやすいという理由で、プロ制度がなかったり、オリンピック種目にもなっていません。プロやオリンピックといった目標になりやすいものが存在しない背景の中でも、根強い人気を保っている理由は何でしょうか?
習い事としての【剣道】は、「武道」というスタンスを保つことで、やはり礼儀作法を身につけさせる目的で習わせるパターンが多いようです。次に【剣道】という習い事の一般的なメリット・デメリットを紹介します。
習い事【剣道】のメリット
1)礼儀作法が身につく
剣道は「礼に始まり礼に終わる」と言われるほど、特に礼儀作法を重んじています。先に紹介したように「武道」であるスタンスがよく伝わります。この礼儀作法が昇給昇段ポイントになるほどですので、やはり、この部分にメリットを感じられる方は多いようです。
小さな子供であっても、自然と礼儀作法が身に付き、正しい礼やあいさつができるようになります。家庭教育だけでなく、習い事先でこういった部分を伸ばすことができるのは大きなメリットですね。
2)精神面の成長
礼儀作法の延長かもしれませんが、目上の人への敬意の払い方が身につくといったメリットもあります。「心技体」が揃っていると言われる武道ですので、過度なプライドやエゴがそぎ落とされ、上下関係を含む人間関係の形成にも役立つようになります。
また、剣道の稽古は、暑い時期でも重い防具を身につけて行うので、決して楽ではありません。打たれれば防具をつけていても痛いです。そんな稽古をこなすことで、少々の苦しみには耐えていく忍耐力が身に付きます。
他にもたくさんのメリットがあるかと思いますが、やはり「武道」というところに他のスポーツ系の習い事との差があるようですね。
では、逆にデメリットと思われる部分についてもご紹介しておきましょう。
習い事【剣道】のデメリット
1)モチベーション維持が難しい
サッカーや野球はプロがあり、憧れの選手がいたり目指すチームがあったりと、夢や目標が持ちやすいです。一方で、剣道はプロがなく、オリンピック競技でもないので、夢や目標を持ちにくく、モチベーション維持が難しいといったデメリットがあります。注目度の違いもあり、がんばりや結果を周囲に認知されにくいという点もあるかと思います。
また、基本は個人競技ですので、勝ち負けがはっきりつくという点で、現実の厳しさを早い段階で感じてしまったりと、小さい子どもには精神的に厳しいかもしれません。
2)保護者負担
よく言われる注意点の1つが保護者負担、費用です。月謝としては10,000円以内のところが多く、他の習い事と大きな差異はありません。しかし、必要な防具などの道具代でおよそ50,000円程度かかると言われています。もちろん、道具によって値段の差はありますし、道場によって、初めは竹刀だけの購入でOKというところもあるようです。また、一度購入した道具は頻繁に買い替えるわけではありませんので、長い目で見ればそこまで高いものでもないのかもしれません。
注意手としては、成長期だとすぐにサイズ等が変わってしまうので、購入するタイミングやどのサイズで購入するかはよく検討する必要があるかと思います。先輩から譲り受けるなどで対応できる場合もあるので、先に通われている方に相談するのもいいでしょう。
また、剣道の防具などはどうしても臭いなどが気になりやすいというのもありますので、お手入れ・メンテナンスの負担もある程度あるかもしれません。
剣道は男女での向き・不向きはほとんどないようです。背の高さや体格差は関係なく、だれでも平等に戦える競技というのもメリットかもしれません。そのため、男の子も女の子も、体格差や、運動神経のよさなども問わず、だれでも始めることができます。
ただ、道場ごとに目標としている部分が違うことがあります。基本動作を中心に稽古し昇給昇段に重きを置いている道場、実践練習が中心となり試合出場が多い道場などなど。子どもが剣道を始める目的に合わせて道場を選ぶようにしましょう。
では、剣道に必要な道具も順にご紹介します!
剣道で使用する道具(準備物)
竹刀
剣道には不可欠な道具ですね。竹刀も適切なサイズがあります。床に竹刀を立てて肩より少し下くらい(脇辺り)の長さのものが適切です。子どもの身長に合ったものを選んでください。付属品として竹刀袋や鍔(鍔止め)も用意しましょう。
剣道着
ある程度の動作が身に着けば、剣道着を着て同じ動作を行います。成長期ですぐにサイズが合わなくなるということもあるので、ワンサイズ大きめを購入して、裾上げをされる方もいます。
選ぶ際は、道着の素材や厚みにも注目してみみてください。綿素材は汗を吸収しやすいですが、色落ち等があります。ポリエステルだと乾きが早くなります。
防具
剣道着でうまく動けるようになったら、いよいよ防具をつけます。剣道の防具は面、小手、胴、垂の4つです。値段はピンキリですが、子ども用は大人用よりも安めになります。国産と外国産があり、国産は高めになりますが品質が良いという評判もあるようです。
いかがでしょうか?
ここまでで、【剣道】という習い事についてお伝えしてきました。最後に、長期的な視点で子どもの教育を見たときに、【剣道】という習い事がどういったの鵜力を成長させるのかを紹介します!
【剣道】で伸びる子どもの能力
正確性
正確に問題を理解し、処理する力です。判断力と処理力の見定めにつながります。
剣道はまず「カタ」をまねることから始まります。この点は空手と同じです。達人、有段者の所作をどれだけ正確に表現できるかが上達のポイントです。カタをまねることは、行動とイメージをリンクしないとできないので、続けることで力がついていきます。
ストレス耐性
問題に対してイライラせず、冷静に取り組める力のことです。時間へのプレッシャーや難問への対応力がわかります。
剣道は試合に入るまでの所作で相手の呼吸と合わせなければいけません。その時間は気持ちのコントロールができないと、かなり試合中のメンタルを揺るがします。
理解力
問題文をしっかりと理解し、読み取る力です。出題の意図は何なのか、その細部まで読み取ることで全体像が見渡せるようになります。
ストレス耐性でも書きましたが、剣道はただ打ち込むだけでは勝てません。相手の細かな動きを察知し、その呼吸の一つ前で動作しないと勝てないのです。相手が醸し出す気配や空気感を読み取る、いわば裏コミュニケーションを身につけることができます。
※裏コミュニケーション・・・・表情や言葉ではなく、相手の醸し出す空気感や気配で相手の言いたいことを感じ取るコミュニケーション力。
武道としての剣道はお子さまの心の成長に大きく寄与するようです。サッカーや野球のようなわかりやすい目標は持ちにくいかもしれませんが、精神的な成長は大きな財産です。
ぜひ、習い事探しの参考にしてください。