コラム

そろばんは役に立つ?幼児教育に必要かどうか?

そろばんの歴史

みなさんご存じの通り、「そろばん(算盤)」とは計算用具の一種です。珠(たま)の位置で「数」を表現し、計算を補助するものです。

生き物の中で、「数」の概念をもつのは人間だけだと言われています。この「数」の概念は、はるか昔、人間が狩猟をしていたころからあるとも言われています。とった魚や獣類の大きさを比べたり、数を数えたり。なんと、木の棒などに刻みを入れることで、数の記録をしていたこともわかっています。

約6000年前、メソポタミアのシュメール人が「数字」を発明したと言われています。そしてみなさんになじみのある1~9のアラビア数字は約2000年前にインドで考案されました。これが世界に広まったのが数字の始まりです。

そして、今の「そろばん」の始まりは約4000年前になります。メソポタミアで生まれた「砂そろばん」がその始まりだと言われています。それが徐々に世界に広まり、少しずつ形を変えました。

「そろばん」が日本に伝来されてきたのは約500年前、室町時代ごろです。日本でも徐々に形を変えて、主に商売でよく使われてきました。昭和に入ってからは、小学校で必修になるほど広まりました。

今から何千年も前に生まれたそろばん。今でも多くの国の初等教育で必修化されています。日本では商売での事務処理で広く使われ、最近では算数・数学学習の中で、その理解を深めたり、脳開発へ活用されたりといった幅広い分野で役立っています。

 

習い事としてのそろばん教室

「そろばん教室」は様々な習い事ランキングで、必ずTOP10にランクインされるほど人気の習い事です。「そろばん教室」へお子さまを通わせる保護者はどのようなことを習得してほしいと考えているのでしょうか?

計算力をつけてほしい

算数を得意にしてほしい

様々なニーズがあることでしょう。歴史の長いそろばんですが、単なる計算用具として考えると、昨今の社会ICT化が進む中では、その役割は弱くなってしまうかもしれません。実際、企業の事務処理の中でも「そろばん」を使う場面はほぼありません。それでも習い事としてそろばん教室の人気は変わりません。

どんなにICT化が進んでも、脳を鍛えることの重要性は変わりません。便利なものがどんどん増えている社会だからこそ、それを扱う人の脳を鍛えるということは注目されているのです。

 

また、そろばんを追求すると、実は理系的能力ではなく、文系的能力がつくとも言われています。実際、フラッシュ暗算でギネス正解記録に登録されている方は、大学では文系の学部に進み、会社も文系の方が多く行く職種に就職されています。その方が、某大学でそろばんサークルを立ち上げられた際、集まったメンバーは数学が苦手な学生ばかりだったそうです。

そろばんの計算力は四則計算の基礎では素晴らしい力を発揮しますが、分数や文字式などの代数が出てくると、活躍しにくくなります。それもあり、小学校低学年生のうちに通わせるご家庭も多いようですね。

 

「そろばん」のチカラ

「そろばん教室」でそろばんを学習する際の第一の目的はやはり「計算力」の向上でしょう。先に述べたように、分数や文字式などの代数になると、なかなか活躍できないことも多くなりますが、そんなに難しいものも基本はたし算・ひき算・かけ算・割り算の四則計算です。そろばん学習では、この四則計算を基本として計算問題を解いていくことで、計算力を飛躍的に向上させることが出来ます。

小学生低学年のうちは、基本の四則演算を学校で習いますので、まさに直結していきます。それゆえ、この時期に習い事として通わせるご家庭も多いのでしょう。

 

しかし、「そろばん教室」で身につく力は「計算力」だけではありません。能力育成の観点からみるとさらに驚くべきチカラを育てることができます。

 

ストレス耐性

「ストレス耐性(忍耐力)」とは、問題に対して、イライラせず、冷静に取り組める力のことです。時間へのプレッシャーや難問への対応力がわかります。

そろばん学習につきものの「そろばん検定」では時間との戦いになります。そして、制限時間内にいかに正確に処理できるかが問われます。

こういった環境の中で、学習を進めていくことは、冷静さをコントロールする練習にもなり、「ストレス耐性」を伸ばしていくことができます。

 

正確性

「正確性」とは、正確に問題を理解し、処理する力です。判断力と処理力の見定めにつながります。

習い始めにはなかなかできませんが、瞬間的に物ごとを処理するのがそろばんを極めた人の才能です。数字が無意識的に頭へ思う浮かぶことから、特に四則計算では正確な力を発揮することが出来るようになります。

 

検索力

「検索力(無意識処理力)」とは、頭の中にある知識をうまく思い出す力のことです。暗記力にもつながる要素です。

そろばんでフラッシュ暗算ができるまで成長する人は、頭の中で理屈で計算していません。0.2秒ほどで移りゆく数字を頭で計算することは不可能です。彼らが自然にしていることは“無意識”での組み合わせです。

人の脳には無意識で処理を行う領域があります。その一部を刺激しているのです。これは“速読”と同じような効果があります。

 

いかがでしょうか?「そろばん」のチカラは算数だけではないということを意識して、もっと先の将来役に立つ能力育成の一環として、新しい観点からもご検討してみてください。